定常波

次のような2つの波を想像してください。

このあと2つの波はぶつかって合成波をつくります。 このときできる合成波が今回のテーマ,定常波(定在波)です!

定常波とは何か

定常波というのはちょっと変わった波で,一言で表すと,「進まない波」です。

通常,波は下図のように波源から遠ざかるように進行します。

しかし,定常波の振動の様子は,

のようになります。 山と谷が交互に繰り返されるので,確かに振動はしています。

ところが,山と谷が媒質の決まった箇所にしか現れないため,右にも左にもどちらにも進まない波に見えるというわけです(YouTubeなどで検索すれば定常波の様子が見れるので,必ず一度は見てイメージを頭に焼き付けてください)。

進まない以外の定常波の性質も挙げておきましょう。

繰り返しになりますが,定常波では山と谷は決まった場所にしか現れません。 これは言い換えると,大きく振動する点(山と谷を繰り返す場所)と,振動しない点(山と谷に挟まれた場所)が存在するということになります。 大きく振動する点のことを,振動しない点のことをと呼びます。

また定常波は同じ振幅の波どうしが重なってできる合成波なので,定常波の振幅はもとの波の振幅の2倍になります(重ねあわせの原理を忘れている人は要復習!)。

その他の細かい性質はまとめノートに記しておくことにします。


定常波が発生する条件について

最後にもう一度,定常波ができる条件を確認したいと思います。

〈定常波ができる条件〉
互いに逆向きに進む2つの波が,
①同じ速さであること
②同じ振幅であること
③同じ波長であること

この3つの条件がそろって初めて定常波ができます。 確かにそれはその通りなんですが…
この条件,ハッキリ言ってかなりキツいと思いませんか?

実験室などで人為的に作るのは簡単かもしれませんが,自然界で2つの波が互いに逆向きに進んできたときに,その2つがたまたま同じ速さで,たまたま同じ振幅で,たまたま同じ波長,なんてことが果たしてあり得るでしょうか?

うーん,この条件が全部揃うというのはちょっと考えづらいですよね。

しかし,この条件が簡単に揃う場面が1つだけあるのです。 それは入射波と反射波です。

反射板に向かっていく波と,反射されて戻ってきた波。 これらは当然,互いに逆向きに進みます。 波は反射しても速さや振幅,波長は変わらないので,定常波のできる条件がすべて満たされることになります!
(※ 固定端反射では位相が変わりますが,これは定常波ができる条件とは無関係。)

入射波と反射波の合成波は定常波になる!

これは大事なのでぜひ覚えておきましょう!

今回のまとめノート


時間に余裕がある人は,ぜひ問題演習にもチャレンジしてみてください! より一層理解が深まります。

【演習】定常波定常波に関する演習問題にチャレンジ!...

次回予告

次回からは最も身近な波である音波について学びましょう!!

音の3要素我々はいろいろな音に囲まれて生活していますが,物理の観点から見ると,どれも何の変哲もない「ただの波」です。では,きれいな音楽と騒音は,波としてどう違うのでしょうか??...
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