物質の温まりにくさ・冷めにくさを表す指標として「比熱」という概念があることは物理基礎で学習済みです。
気体の比熱は固体の比熱とはまた違った興味深い性質があるので,今回はそれを見ていきましょう!
比熱とモル比熱
比熱とは,物質1gの温度を1K上げるのに必要な熱量のことでした。
この1gというのは,「温まりにくさを比べるときは量を揃えよう!」という発想から出てきたものです。
そして,物理基礎のときは水や金属の話題が多かったので,「量を揃える=質量を揃える」という発想だったのですが,気体の場合はどうでしょう?
ここまで勉強してきた人なら,気体の場合,「量を揃える=物質量を揃える」のほうが自然だと考えるのではないでしょうか!?
というわけで,モル比熱という概念を導入します!
見ての通り,モル比熱とは,比熱の概念の “質量[g]” の部分をすべて “物質量[mol]” に置き換えただけです。
しかしこれだけで終わるほど気体は単純ではありません。
熱力学第1法則を見ればわかるように,気体の場合,熱を加えて変化するのは温度だけではないからです!
同時に圧力や体積も変化しうるので,このままだと詳しく調べるのは大変そう…。
そこで,これまで見てきたように,「体積を一定にしたまま」,「圧力を一定にしたまま」という条件をつけて考えてみましょう!
① 定積モル比熱
定積変化におけるモル比熱を,定積モル比熱といいます。
気体の状態変化を調べるときは熱力学第1法則を使うのが定石なので,以前やった定積変化における第1法則を思い出しましょう!
この式と,モル比熱の式を組み合わせると…
これはびっくり!
単原子分子理想気体の定積モル比熱は気体定数だけで完全に決まってしまうのです!!
つまり,(単原子分子ならば)気体の種類に関係なく,定積モル比熱は気体定数の1.5倍。
なかなか興味深い結果ではなかろうか?
② 定圧モル比熱
定圧変化におけるモル比熱を,定圧モル比熱といいます。
先程と同様,熱力学第1法則を用いて計算してみましょう!
2回目なのでさすがにびっくりはしませんが,単原子分子理想気体の定圧モル比熱も,気体の種類によらず気体定数だけで決まってしまうことが導かれました!
さて,定圧モル比熱,定積モル比熱ともに「気体定数の◯倍」という形になっているわけですが,同じ熱量を加えたとしても定積変化の方は加えた熱が仕事(=体積変化)に使われないため,すべて温度上昇に使われます。
つまり同じ気体でも,定積変化は定圧変化に比べて温まりやすいために,定積モル比熱は定圧モル比熱よりも小さい値になるということ。
「小さいほうが定積モル比熱」は丸暗記ではなく,ちゃんと現象を理解していれば当たり前!
注意点
今回の結果はおもしろいものですが,結果だけでなく条件も見落とさないでください。
特にまちがえやすいのは,
・今回得た結果は単原子分子理想気体にしか使えないこと。
(⊿Uの式が単原子分子理想気体でしか成り立たないため,実在気体はもちろん,単原子分子でない理想気体にも使えない。)
・単原子分子理想気体の定積モル比熱,定圧モル比熱は気体の種類によらず決まるが,“通常の比熱(1gあたりのやつ)” は気体の種類によって変わる。
といったところでしょうか。
インパクトがある部分だけでなく,前提条件も含めて正しく理解することを心がけてください。
今回のまとめノート
時間に余裕がある人は,ぜひ問題演習にもチャレンジしてみてください! より一層理解が深まります。
次回予告
いよいよ熱の分野の最終講になります。
これまでいくつかの状態変化を個別に見てきましたが,それらをまとめてみたいと思います。必見です!