これまでに,Pが一定の変化(定圧変化),Vが一定の変化(定積変化),Tが一定の変化(等温変化)を見てきました。 これで一通り終えたように思えますが,最後にもう1つ,「断熱変化」を紹介したいと思います。
断熱変化と熱力学第1法則
断熱変化とはその名の通り,気体に熱を加えない(or 気体から熱を奪わない)変化です。
今回もまた熱力学第1法則が頼みの綱になりますが,「熱の出入りを断つ」ということなので,Q=0とすればOK!
よって,断熱変化に関して,
0=⊿U+W
という関係式が得られます。
ちょっと式をいじってみましょう。 Wを移項すると,⊿U=−W となります。
Wにマイナスがついているので,⊿UとWの符号が逆になるのがポイント!
つまり,気体が外部に仕事をして体積が増えるとき,Wは正なので,⊿Uは負。
逆に,気体が外部から仕事をされて体積が減少するとき,Wは負なので,⊿Uは正。
⊿Uの変化は温度の変化を表すので,断熱状態で気体が仕事をすれば(=断熱膨張)温度は下がるし,仕事をされれば(=断熱圧縮)温度は上がる,ということになります。
断熱=温度が変化しない,と早とちりする人が後を絶ちませんが,それは大間違い!!
言葉のイメージで理解しようとするのはいい加減卒業して,しっかり法則に基づいて理解するよう心がけましょう!
断熱変化のP-Vグラフ
気体の状態変化恒例,P-Vグラフについても確認しておきましょう。 形は等温変化のものと似ているのですが,微妙にちがいます。 ちがいを理解して見分けられるようにしておくこと!
これで断熱変化のグラフはバッチリですね!
まとめノートは今回もお預けですが,演習問題は用意してます。 ぜひチャレンジしてみてください!
次回予告
状態変化の中でも特に,定圧変化と定積変化について知っておかなければいけない知識がもう1つあります。 物理基礎でやった比熱が,装いを新たに登場?