ボイル・シャルルの法則

ここから先,いよいよ気体の圧力,体積,温度に関する考察が始まります。
例えば「圧力を変化させると温度はどうなるか」といった問題。

始める前に,言葉に関する注意。 これから先,理想気体は単に「気体」と略します。
高校物理の範囲では実在気体を扱うことはないので問題ないでしょう。

それから,「温度」もセルシウス温度[℃]ではなく,熱力学温度[K]を指すものとします。
℃↔Kの換算は簡単なので,これも問題ないと思います!(ないよね?)

目次

圧力と体積の関係 〜ボイルの法則〜

中に空気が入ったシリンダーのピストンをギュッと押すと,ピストンが強く押し返されるのを感じることができます。

これは,気体の体積を小さくすると中の気体の圧力が上がることを意味しています。

この現象について調べて,法則を見つけた人物がボイルです。

例題を通して,ボイルの法則をどのように適用すればいいのか見てみましょう。

ポイントは「(温度が一定ならば)圧力や体積が変化しても,それらの積は変化しない」ということです!

温度と体積の関係 〜シャルルの法則〜

ボイルは「温度が一定」という条件の下で,圧力と体積の関係を示しましたが,温度を変化させたときはどのような変化が生じるのでしょうか?

コンビニで買ってきたパンを温めるとき,袋に穴を開けないままレンジでチンすると袋がパンパンに膨張します(パンだけに)。 温度を上げると体積が増加するわけですね!

問題は,どのように増加するのかという点ですが,これについてはシャルルという人がすでに調べてくれているので,その結果を紹介します!

温度の単位に注意。 ℃ではなくK。
℃ではシャルルの法則は成り立たないので注意!

これも例題をひとつやってみましょう。

ポイントは「(圧力が一定ならば)体積や温度が変化しても,その比は変化しない」ということです!

2つあわせて「ボイル・シャルルの法則」!!

ボイルの法則とシャルルの法則の基本的な使い方はこれでバッチリですね!

しかし,この2つの法則を単独で用いることはあまりありません。
なぜなら,この2つはまとめて1つの式にしてしまうことができるからです!

ボイルの法則とシャルルの法則,2つあわせて「ボイル・シャルルの法則」爆誕!!!!

ボイルの法則では温度一定,シャルルの法則では圧力一定という条件がありましたが,ボイル・シャルルの法則では,温度と圧力が同時に変化するような変化も扱えます。 例題をやってみましょう。

この問題はまず自分で考えて,答えを出してみてください。
先ほどやった2問と同じ要領で解くことができます。

では,解答です。

ボイル・シャルルの法則は万能ではない

例題のように,比較的簡単に答えが求められるので,ボイル・シャルルの法則が好き!という人は割と多いのですが,この法則には1つだけ弱点があります。

それは,「気体が密閉されているときにしか使えない」という点です。

容器の外に気体が逃げたり,逆に入ってきたりするような場面では,たちまち役立たずの法則になります。

なんでもかんでもボイル・シャルルの法則!ではなく,法則の適用範囲をしっかり理解した上で使うようにしましょう。

今回のまとめノート


(ちなみに余談ですが,2人でセットにされがちのボイルとシャルルですが,この2人は生まれた国もちがうし,そもそも生きた時代が100年ぐらいちがうので,お互い面識はまったくありません。)

時間に余裕がある人は,ぜひ問題演習にもチャレンジしてみてください! より一層理解が深まります。

次回予告

ボイル・シャルルの法則の背後には,気体に関するもっと基本的な関係式が存在しています。

次回はその関係式について理解を深めましょう。

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