前回は温度と熱について説明しましたが,今回は温度についてもっと詳しく見ていきましょう。
温度は原子・分子の熱運動の激しさを数値で表現したものだったわけですが,一口に「数値で表す」と言っても,実はいろいろな表し方があるのです!
ここではよく使う温度に絞って紹介したいと思います。
セルシウス温度(摂氏温度,℃)
まず,もっとも馴染み深い温度はセルシウス温度(摂氏温度)でしょう。 もしかするとセルシウス温度という名前を初めて聞くという人もいるかもですが,℃を単位として測る温度のことです。
そう,気温などを表すときにいつも使ってるやつですね。 これはセルシウス氏が水の状態変化を基準に決めた温度です。
具体的には,1気圧下で氷が溶ける温度を0℃,水が沸騰する温度を100℃と定めた温度ということになります。
ファーレンハイト温度(華氏温度,℉)
次によく使われれている温度としては,℉を単位として測る,ファーレンハイト温度(華氏温度)があります。
そんなの聞いたことないぞ!という声が聞こえてきそうですが,主にアメリカで気温を表すのによく使われています。
氷が溶ける温度を32℉,沸騰する温度を212℉とした温度らしいですが,数字も中途半端だし,正直私もよくわからない…
基準となる数字が中途半端なのは諸説あるようですが,ファーレンハイト温度を用いる一つのメリットは,気温を表すときにほとんどマイナスを用いずに済むことです。
たしかに,セルシウス温度だと寒い地域では0℃を下回ることも普通なので,そういう意味では使いやすいのかもしれません。。。
熱力学温度(絶対温度,K)
くどいようですが,温度とは原子や分子の熱運動の激しさで決まります。 物体をどんどん冷やしていくと,熱運動もどんどん鈍くなってきます。 それでも冷やし続けていくと,最終的に熱運動は止まってしまいます(※ 完全には止まらないが,今は気にしなくてよい)。
温度が熱運動の激しさで決まるということは,熱運動が止まったらそれより温度が下がることはありえません。
そこで,物体を構成する原子や分子の熱運動が停止する温度を0とし,それにセルシウス温度と同じ目盛りを振って定めた温度のことを「熱力学温度(または絶対温度)」と言い,単位はK(ケルビン)で表します。
0Kはセルシウス温度で表すと−273℃で,この温度は絶対零度とも呼ばれます。 これ以上温度が下がらない,という意味を込めての「絶対」です。
さて,熱力学温度は熱運動という温度の本質に基づいてつくられた温度なので,物理をはじめ,自然科学分野では非常によく使われます。
しかし科学の計算には便利でも,日常生活で使うには数字が大きくてわかりにくいです(たとえば27℃は熱力学温度では300Kといった具合)。
そういう事情もあって,我々は熱力学温度と使い慣れたセルシウス温度を使い分けることを余儀なくされます。
幸い,熱力学温度とセルシウス温度は目盛りは同じなので,同じ温度を℃とKで表すと,2つの数値には単純に273だけ差があります。 つまり,℃をKに直すときには273を足せばいいし,Kを℃に直すときには273を引けばそれで完了です。 この温度の変換はよく使うので覚えてください!
今回のまとめノート
時間に余裕がある人は,ぜひ問題演習にもチャレンジしてみてください! より一層理解が深まります。
次回予告
次回は熱と温度の関係について学びましょう!