力学が運動方程式を出発点にして発展してきたのに対し,電磁気の発展はまさに手探り状態。 土台となる方程式がわからないままたくさんの実験を繰り返し,その結果を積み重ねてきました。
このように,電磁気の歴史は力学とはまったく逆と言っても過言ではありません。 今回はそんな電磁気の歴史の最終章を見届けましょう。
マクスウェルの発見
大昔は超常現象のように考えられていた電磁気が,実験を経て科学として成立し,その実験結果がだいたい出揃ったのが19世紀。
1864年にマクスウェルがそれまでわかっていた電磁気の結果をまとめあげ,ついに電磁気現象のすべてを記述する基礎方程式(マクスウェル方程式)が見いだされました!!
…と書くと,マクスウェル方程式を説明する流れに見えますが,現時点でそれは不可能(高校では習わない高度な数学が使われているため)なので,ここでは式から得られる結果の紹介にとどめます。
さて,基礎方程式がわかると,それを式変形することで新しい現象を予言することが可能です。 マクスウェル方程式の場合は,「電場が変化するとそのまわりに磁場が生じ,磁場が変化するとそのまわりに電場が生じる。この連鎖によって電場と磁場が空間に波として伝わる」という,俗に言う “電磁波” の存在が導かれます。
電磁波は当時はまだ知られておらず,その後ヘルツによって電磁波が実際に存在することが確認されました。 未知の現象を実験ではなく方程式から見つけるというのは,物理の理論の醍醐味のひとつといえるでしょう!
ところが,マクスウェル方程式が導いたのは電磁波の存在だけではありませんでした。 電磁波が伝わる速さも求めることができたのです。 実際に計算してみると…
この値,どこかで見覚えがありますよね??
そう! 真空中の光の速さです!!
この事実を突きつけられて,「へぇ,真空中で電磁波が伝わる速さって光の速さと一緒なのかぁ。 すごい偶然だなぁ」なんて思う人はいませんよね?
「光と電磁波って同じものなんだ!」と結論づけるほうがどう考えても自然!
そんなわけで,マクスウェル方程式は思いがけず光の正体まで暴いてしまったわけです。 すげぇ。
電磁波の特徴と分類
電磁波の速さ以外の特徴についてもまとめておきましょう!
それから,電磁波は波長によっておおまかに次のように分類されます。
電磁波の話はまだまだ奥が深いのですが,この先は大学物理にバトンタッチ。
今回のまとめノート
時間に余裕がある人は,ぜひ問題演習にもチャレンジしてみてください! より一層理解が深まります。
ご愛読ありがとうございました。