今回はコイルのあまのじゃくな性質を,エネルギーの観点から見ていくことにします!
スイッチを切ると電球が光る!?
以下のような回路を考えます。
スイッチを入れてから十分時間が経っているとき,電球は点灯しません(点灯しない理由がわからない人は,自己誘導の記事を読んでください)。
ところがこの状態からスイッチを切ると,電球が一瞬だけ光ります! スイッチを切ったのに光る…?
何も知らない人には不思議な話に聞こえるかもしれませんが,ここまでちゃんとコイルについて勉強してきた人ならば,理解できるはず。 そう! 自己誘導ですよね!!
さて,いまの現象をエネルギーの観点から見るとどうでしょう? 電球が光ったということは,光エネルギーが発生したことに他なりませんが,何もないところからエネルギーは出てきません(エネルギー保存の法則!)。
考えられるのは,
① 仕事が光エネルギーに変換された
② 他のエネルギーが光エネルギーに変換された
の2択です。 ところがいまの場合,①はありえません。 回路で仕事をするのは電池(電荷を移動させる仕事をしている)ですが,スイッチを切ってしまったら電池は仕事ができないからです!
すると光エネルギーの出どころは②ということになりますが,コイルの誘導電流によって電球が光ったことを考えれば,“コイルがエネルギーをもっていた” と考えるのが自然。
コイルのエネルギー
コンデンサーに蓄えられるエネルギーは「静電エネルギー」という名前が与えられていますが,コイルの方は特に名付けられていません(T_T)
コイルに蓄えられるエネルギーは以下の式で与えられます。
いまの段階ではとりあえず式を言えるようにしておけばOK。
(※ 本当はちゃんと「電池が自己誘導起電力に逆らってした仕事」を計算して,このUが得られることを示すべきなのですが,長くなるだけでメリットがないのでやめておきます。 気になる人は教科書・参考書を参照のこと。)
ところでこの式,静電エネルギーの式と似ていると思いませんか? 似ているというか,対になっているというか…
まぁ,コンデンサーは電場をつくる部品,コイルは磁場をつくる部品なので,対をなすのはむしろ自然?
今回のまとめノート
時間に余裕がある人は,ぜひ問題演習にもチャレンジしてみてください! より一層理解が深まります。
次回予告
普段お世話になっているのに,ここまでまったく触れてこなかった「交流回路」の話に突入します。 お楽しみに!