コイルの電磁誘導について,前回学習した自己誘導に加え,もう1つだけ紹介しておきたいと思います。 コイルの応用上,非常に重要な「相互誘導」と呼ばれる現象です!
2つのコイルによる電磁誘導
ここまでの電磁誘導では1本のコイルしか登場しませんでしたが,今回は2本のコイルを用意し,以下のようにセッティングしてみましょう。
この状態から電源をいじって電圧を変えると,1次コイルに流れる電流2次コイルの両端に誘導起電力が生じます!
一方のコイルに生じた変化が,別のコイルの電磁誘導を引き起こすということで,相互誘導と呼ばれており,相互誘導による誘導起電力(相互誘導起電力)は,以下のような形で表されます。
自己誘導起電力の式と似ていますが,「原因となるコイル(1次コイル)」と「相互誘導起電力をつくるコイル(2次コイル)」の役割をしっかり区別することが重要!
相互誘導の応用例
このサイトでも何回にも渡って電磁誘導の講義をしてきましたが,電磁誘導はそれだけ重要な現象だということ。 あらゆるものが電気で動くこの時代ですが,相互誘導はそんな我々の生活の一端を担っています!
具体的には変圧器という装置に利用されているのですが,簡単に書くと以下のような構造です。
ポイントは鉄心を輪っか状にしたことによって,磁束が外に漏れないこと!
磁束が外に漏れない場合,1次コイル側に生じる自己誘導起電力と,2次コイル側に生じる相互誘導起電力の比は,コイルの巻数の比に一致することが知られています!
この結果を用いれば,相互誘導起電力の大きさを自由自在に,しかも簡単にコントロールできます(2つのコイルの巻数を変えればいいだけ)!
変圧器はどういうときに使われているのかというと,発電所から各家庭に電気を送るときに用いられています。 一定の電力を送電する場合,電圧が高い方がジュール熱による損失が少ないため,変圧器を利用して,なるべく電圧を高くしてから送電しているのです。
ふむふむ。 言われてみれば確かにそうなんだけど,送電の仕方ひとつ取っても,よく考えられているなぁと感じませんか?
今回のまとめノート
時間に余裕がある人は,ぜひ問題演習にもチャレンジしてみてください! より一層理解が深まります。
次回予告
電磁気の話題はまだまだ続くのですが,電磁誘導関係の話は次回で一区切り。 コイルがもつエネルギーの話で締めくくりたいと思います。