前回の記事では,電磁誘導とは何か,誘導起電力や誘導電流の向きはどうなるのかについて学習しました。
今回はそこから一歩進んで,誘導起電力の大きさに関する具体的な計算方法を伝授したいと思います。
磁石の出し入れと誘導起電力の関係
コイルに磁石を出し入れすると,誘導起電力が生じて誘導電流が流れる。その向きはレンツの法則に従う
…というのが前回の結論でしたが,ここにもう2つ大きな事実を付け加えさせてください。 それは,「強い磁石ほど,生じる誘導起電力は大きい」ことと,「同じ磁石でも,出し入れする速さが速いほど,生じる誘導起電力は大きい」ということです。
この2点はまとめて,「コイル内部の磁場の変化が急激であるほど,大きい誘導起電力が生じる」と言い換えることができます。
これを法則の形でまとめたのが19世紀を代表する大科学者ファラデー。 その法則を紹介しましょう!
ファラデーは生涯にたくさん法則を発見しています。 単に「ファラデーの法則」と呼ぶと,どの法則を指しているのかわからないため,わざわざ「ファラデーの “電磁誘導の” 法則」と呼ぶことになっています。
ところで,コイルの巻数が登場する公式はこれで2つ目ですが(1つ目はソレノイド内部の磁場の公式),それぞれコイルの巻数の取り扱いが微妙に異なります!
ごっちゃになっている人が多いので注意してください!
例題
法則は式が書けるだけではダメで,具体的な問題に適用できないと意味がありません。 例題を通じて適用力を身につけましょう!
解答・解説はこのすぐ下に書いてありますが,一旦読むのをやめて,問題を解いてみてください。
では,解説をはじめたいと思います。 ファラデーの電磁誘導の法則は,式に磁束Φを用いていますが,与えられたグラフは磁束密度Bについてなので,磁束と磁束密度の関係式を用いて,電磁誘導の式を書き換えましょう。
式の中に「単位時間あたりの磁束密度の変化」が出てきたので,問題に与えられたグラフの傾きを求めれば,この問題は解けそうですね!
すると,答えは以下のようになります。
ファラデーの電磁誘導の法則は冒頭で紹介したとおり,レンツの法則による誘導起電力の向きも考慮して,右辺にマイナスをつけるのが普通です。
しかし実際の電磁誘導の問題では,誘導起電力の “大きさ” と “向き” は別々に求めた方がよい場面が多いです。
つまり,誘導起電力の “大きさ” は,ファラデーの電磁誘導の法則(に絶対値をつけて)求め,“向き” はレンツの法則を用いて決定する,という感じです。
誘導起電力の向きも考えないと解けない例題もやりたいところですが,長くなってしまうので次回にとっておきましょう!
今回のまとめノート
時間に余裕がある人は,ぜひ問題演習にもチャレンジしてみてください! より一層理解が深まります。
次回予告
定期試験でも模試でも入試でも頻出! 電磁誘導に関する典型問題にチャレンジします!