磁場からの作用を考えるとき,磁場そのものを用いるよりも,あらかじめ周りの物質から受ける影響も含めた磁束密度を用いるほうが何かと都合がよい,というのが前回の結論でした。
そんなわけで今回は,磁束密度の表現方法について考えてみましょう。
磁力線と磁束線のちがい
これまで電場の様子は電気力線を,磁場の様子は磁力線を用いて表してきました。
このことを踏まえて磁束密度はどう表すべきか,ということですが,磁束密度も磁場の様子であることには変わりないので,やはり線で表すのが妥当でしょう。
そこで,磁束密度の表現方法として磁束線というものを新たに導入します。 詳しい説明の前にまずは図を見てほしいのですが,これは一見すると磁力線と大差ないように思えます。
とはいえ,磁力線と磁束線はやはり別物。 磁束密度は物質の影響を加味したものなので,両者のちがいが一番ハッキリわかるのは物質内部です!
磁力線と磁束線の最大のちがいは,
磁力線 → 線にスタート(N極)とゴール(S極)がある
磁束線 → 線をたどると,ぐるっと1周していてスタートもゴールもない
ということです。
磁石のN極とS極は分離できない点を考慮すると,スタートとゴールを別々に設定するのは不自然。 磁場を表す場合はやはり「磁束密度(磁束線)のほうが自然」と言わざるを得ません。
自然だし,計算は簡単になるし,…
磁場ではなく磁束密度を使う理由がわかってもらえたのではないかと思います。
磁束線のルール
具体的に磁束線を書く方法として,以下のルールを採用しましょう!
ここでルール3に注目。 このルールを逆手に取れば,ある面積を通る磁束線の総本数を求めることが可能です。
以前の記事で,「磁荷が存在しないから,磁気量の単位のWbは存在感がない」と言ってしまいました(失言)が,そのWbが磁束の単位としてまさかの再登場!
存在感がないなんて言ってごめんよ。。。
この磁束という量は,電磁誘導のときに重要な役割を果たすので,ぜひ覚えておいてください!
今回のまとめノート
時間に余裕がある人は,ぜひ問題演習にもチャレンジしてみてください! より一層理解が深まります。
次回予告
次回は電流が磁場から受ける力に話を戻して,力の正体に迫りたいと思います。