いよいよ磁場の話題に突入します!
電磁気という名前からわかるとおり,電気と磁気は互いに双璧を成しています(という割にはここまでまったく登場してこなかったけど笑)。
電気の知識だけあっても,それでは片手落ち。 磁気に関する知識もバッチリ身につけていきましょう!
電気と磁気の決定的な差
とはいえ,中学校までで,磁気に関する基本的な話題にはもうすでに触れているはずです。
電磁誘導に見られるように,電気と磁気は互いに関係し合っています。 電場が変動すれば磁場が生まれ,磁場が変動すれば電場が生まれる,という感じに。
このように,電気と磁気は非常に似通った表裏一体の存在なのです。
ある一点を除いては。
電気と磁気を学ぶにあたって見逃せない両者の差。 それは,「電気には+だけの電荷,ーだけの電荷は存在するが,磁気にはN極だけの磁荷,S極だけの磁荷は存在しない」という点です!!
(存在しませんが,「磁荷」という単語は便利なので使わせてもらいます。)
電荷はあるのに,磁荷はない…
この差にはなんかモヤモヤしたものを感じますが,勉強する皆さんにとってはいいことかもしれません。 だって,電気と磁気が完璧に同じだったら,電気と同じことをもう一度イチからやり直すハメになってしまいますからね!
もし磁荷が存在すれば,それが流れて「磁流」になり,磁気の学習はきっと「オームの法則(磁流ver.)」から始まっていたことでしょう(^_^;)
しかし,そんなものは存在しないと分かった今,磁気の学習はその辺をすっとばして,磁場の話から始まります。
磁場から受ける力
磁石と磁石の間にはご存知の通り力(磁気力)がはたらきます。同じ磁極どうしを近づけたときは斥力で,異なる磁極どうしを近づけたときは引力。 これは静電気力とまったく同じ。
また,静電気力は電気量の大きさによってはたらく力の大きさが変化しますが,磁気力も使う磁石によってはたらく力の大きさが異なりますよね!
電気の大きさが電気量で表されるのと同様に,磁石の強さは磁気量と呼ばれる量(符号はN極を正,S極を負とする)で表されます。 単位はWb(ウェーバ)で,磁気量の絶対値が大きい磁石ほど,強い磁石といえます。
さて,磁気力は磁石どうしが離れていてもはたらく力で,この性質も静電気力と同じです。
「離れていてもはたらく力」というのがピンとこないので,電気の場合は「空間に電場が存在し,電荷は電場から直接力を受けている」という見方を採用しました。
詳しい話はこちら ↓
磁気力もこの考え方を採用しましょう。 すなわち,「空間には磁場(磁界)が存在し,磁石は磁場から直接力を受けている」と考えます!
上の図では磁場を1本の線で書いてしまいましたが,正確には磁場の様子は磁力線で表します。
(※ 電気力線の読み方は「でんき “りき” せん」だったが,磁力線は「じ “りょく” せん」と読む。)
磁石の周囲に砂鉄をばらまいたときの,砂鉄の並びが磁力線の様子です。 磁場は電場と共通する部分が多いので,簡単にまとめておきましょう。
今回のまとめノート
最後に公式めいたものを書きましたが,電場と磁場が似ていることを強調するために書いただけで,これに関する計算問題はほとんど目にすることはないと思われます。
磁場に関する演習問題を用意したので,ぜひこちらにもチャレンジしてみてください! より一層理解が深まります。
次回予告
磁荷が存在しない以上,磁荷と磁場の関係はあまり意味がありません。 それよりも,電流と磁場の関係のほうがよっぽど重要なので,次回はそちらの話に移りたいと思います。