ダイオードという名前はどこかで聞いたことがあると思います。 有名なのは発光ダイオード,通称LEDではないでしょうか?
LEDがあまりにも有名になったので,「ダイオードのはたらき=光ること」と思っている人が多いですが,ダイオードの基本的な性質はもっと別のところにあります。
ダイオードの整流作用
ダイオードのもつ最も重要な性質,それは,整流作用です!
電流が流れる向きの覚え方は簡単。 ダイオードの記号が矢印っぽい形をしているので,矢印の向きに電流が流れるように電圧をかける(これを順方向という)と,電流は流れるし,矢印と逆向きに電流が流れるように電圧をかける(これを逆方向という)と電流は流れません。
この整流作用,結構おもしろいはたらきだと思いませんか?
こういう部品が電気回路に入ってくると,問題が一層パズルっぽくなって楽しく(?)なります。 ダイオードの性質として理解しておくべきことはこれだけ!
半導体のキャリアと整流作用
…ですが,せっかくなので整流作用が起こる原因についても説明しておきましょう。
実は,ダイオードはn型半導体とp型半導体を接合してつくられます。 半導体がよくわからんという人は前回の記事を参照してください。
なぜ2種類の半導体をくっつけるだけで整流作用が生じるのでしょう?
ポイントは「半導体のキャリア」です。
「ホールと電子が結合」とありますが,ホールとはそもそも電子が不足してできた穴のことなので,電子があるべきところに収まっただけです。
(※ 接合面でホールと電子が結合するときに光エネルギーを放出するものがLED。)
逆方向に電圧をかけたときに電流が流れない理由も考えてみましょう。
半導体は抵抗率だけに注目すると中途半端な性質しかもちませんが,それ以外の性質(今回はキャリアのはたらき)に目を向ければ,ダイオードのような特別な性質をもつ電子部品をつくることができます! 半導体のひとつの応用例として頭に入れておいてください。
例題
ダイオードを含む電気回路の問題を1題解いてみましょう。
部品が増えると回路の問題のパターンも豊富になってきますが,基本に忠実に取り組めばさほど難しいことはありません。 解答はこの下にあります。
解答です!
最後に1点だけ補足。 順方向に電圧をかけた場合,ダイオードに電流が流れますが,この場合ダイオードは抵抗としてはたらきます。
ただの抵抗なら何も問題ありませんが,厄介なことにダイオードはオームの法則が成り立たない(かけた電圧と流れる電流が比例しない)抵抗なのです。
このような抵抗の扱いまで説明しだすと話が逸れてしまうので,今回はスルー。 詳しく知りたい人はこちらの記事 ↓ を読んでください!
今回のまとめノート
時間に余裕がある人は,ぜひ問題演習にもチャレンジしてみてください! より一層理解が深まります。
次回予告
いよいよ磁場の話に突入します。 乞うご期待!