「電位=1Cの電荷がもつ静電気力による位置エネルギー」だったので,電位が分かれば,静電気力による位置エネルギーを簡単に求められることになります。
と,いうわけで,今回は電位の求め方を学んでいきましょう!
点電荷のつくる電位を求める
空間中に点電荷が置かれると,そのまわりには電場が生じるのでした。 その電場の大きさは計算で求めることが可能です!
電場だけでなく,点電荷のまわりの電位も計算できるので,伝授しましょう!!
これを用いれば,電場の中に置かれた q[C]の電荷がもつ位置エネルギーも求めることができます。 電荷1Cあたりの位置エネルギーがVなので,q[C]の電荷なら,Vをq倍すればOKですね!
ところで,位置エネルギーといえば基準が大事になってきますが,今回のような2つの点電荷の間で位置エネルギーを考えるときは,無限遠を基準にとるのが一般的です。 なぜそんな変なところを基準にとるのかって?
その理由は,基準では位置エネルギーは0となるようにしたいからです!
もちろん同じ理由で,点電荷による電位Vの基準も無限遠になります。 無限と言われるとイメージしづらいですが,「無限遠でU = 0(V = 0)」だけ覚えておけば計算で困ることはありませんので,安心してください。
(万有引力による位置エネルギーのところでも同じような話をしているので,未読の方はこちらもぜひ。)
これで式の紹介はおしまい。 あとは例題をやりながらいくつか補足していきます。
例題① 複数の電荷がつくる電位
あれ… この問題どこかで見たような? 細かいことは気にせず(笑),まずは上の公式を使って解いてみてください!
(3)のヒント。 電荷が複数ある場合,ある地点での電位は,それぞれの電荷がその地点につくる電位を足し合わせたもの(電位の重ねあわせ)になります。
解答です↓
さて,気づいた人もいると思いますが,この問題は電場のところで扱った問題をそのまま流用しました。 手抜きをしたいわけではなく,電場と電位のちがいを認識してほしかったからです。
電場=(1Cあたりの)静電気 “力” なので,向きがあるベクトル量,
電位=(1Cあたりの)位置 “エネルギー” なので,向きがないスカラー量。
ベクトルは向きを考えて足す必要がありますが,スカラーはただ数値を足すだけでOK。
力学で運動エネルギーと位置エネルギーを足して力学的エネルギーを求めるとき,向きなんて考えませんでしたよね?
(※ 電位の値が負になることもあるが,それは「逆向き」のマイナスではなく,「0(基準)より小さい」という意味でのマイナス)
電場を求める問題と,電位を求める問題 。 よく似ていますが,しっかり区別しておきましょう!
例題② 力学的エネルギー保存の法則
電位Vから静電気力による位置エネルギーUが求められるようになったので,エネルギーを用いた計算も可能になりました! 使うのはもちろん力学的エネルギー保存の法則。
位置エネルギーが重力によるものでも,ばねによるものでも,静電気力によるものでも,運動エネルギーと足し合わせれば,それは力学的エネルギーになります。 問題の解答はこの下にあります。
解答です。
このように,力学的エネルギーが保存するという考え方は電気の世界でも活きてきます(力学的エネルギーが保存する条件には注意すること!)。 適用範囲の広さこそ物理最大の武器!!
解答にも書き込みましたが,点電荷の問題で力学的エネルギーを用いる場合,重力による位置エネルギーは考えない(質量が非常に小さいので影響が無視できる)のが普通ですので,自分で問題を解く際にも気をつけてください。
今回のまとめノート
時間に余裕がある人は,ぜひ問題演習にもチャレンジしてみてください! より一層理解が深まります。
次回予告
今回例題のところで,電場と電位のちがいが登場しました。 両者はもちろん異なるものですが,密接に関係しているのもまた事実。 次回はその辺りに焦点をあててみましょう!