原子

素粒子

先生1「物質は原子からできています」

先生2「原子は原子核と電子からできています」

先生3「原子核は陽子と中性子からできています」

中学生ワイ「え? これいつまで続くん??」

ということで,今回のテーマは「この世界で一番小さい物質って結局何なのさ?」

陽子と中性子の正体

冒頭で見た通り,人類は「一番小さいと思われていたものが,実はもっと小さいものからできていた」という発見を繰り返しています。 この流れで行くと,もしかしたら陽子や中性子ももっと細かくなるのでは…?という嫌な(?)予感がしませんか?

そんな予感がしたあなたは大正解!

現在,陽子と中性子はさらに小さい物質(クォークという)からできていると考えられています。 クォークは全部で6種類知られていますが,そのうちの2種類(アップクォークとダウンクォーク)が組み合わせると,陽子と中性子のできあがり。

このように,陽子と中性子は組み合わせがちがうだけで,全く同じものからできているのです! 電気量についても矛盾なく説明できます。

ただし,クォークは常にセットで存在しており,陽子と中性子をバラバラにして,クォークを単独で取り出すことはできません(クォークはeより小さい電気量をもつが,観測できる電気量の最小値はeのまま!)。


いろいろな素粒子

「おいおい… まさかクォークももっと小さく分割できるんじゃないだろうな…」と,またしても嫌な予感がしている方に朗報。

クォークはこれ以上分解できません!

クォークは正真正銘,この世で一番小さい粒子なのです。 クォークのように,これ以上小さくできないものを素粒子と呼んでいます。 おなじみの電子も素粒子のひとつ。

また,それぞれの素粒子には反粒子と呼ばれるペアが存在することも知られています。 反粒子は元の粒子の電気量の符号が逆になったもので,例えば電子には陽電子(電気量+e)という反粒子が対応します。

(※ β崩壊のところで登場した反電子ニュートリノは,電子ニュートリノという素粒子の反粒子)

一方,素粒子の中には物質を構成しないものもあります。 例えば光子がそう。 光子は「ゲージ粒子」と呼ばれる素粒子のひとつで,物質こそ構成しませんがかなり大事な役割を担っています。

クォークだけでも6種類。その反粒子も考えたら12種類。 これに電子や陽電子,ニュートリノ,光子も含めると…って考えると,素粒子ってめっちゃ多くね?

自然界に存在する力とゲージ粒子

突然ですが問題。 この世界にある「力」は何種類でしょうか?

ええと,まずは重力でしょ,静電気力でしょ,あとは垂直抗力,摩擦力,張力,etc…と数えるのは間違い! たとえば垂直抗力の起源について考えてみましょう。

このように,垂直抗力の正体は静電気力なので,力の種類としてはカウントされません。

というか,◯◯力みたいなやつはだいたい静電気力由来なのでノーカウント!

こんな感じで力の起源を探っていくと最終的に,この世界に存在する力は4種類(重力・電磁気力・強い力・弱い力)であるということが判明します。

このうち重力と電磁気力はおなじみですが,強い力と弱い力は初耳の人も多いでしょう。 この2つの力は非常に短い距離でしか効果を及ぼさないため,日常生活でその存在を感知することはできません。

「強い力」とは,その名の通り4種類の中で一番強い力です。 さっき「クォークは単独で取り出せない」と書きましたが,この強い力がクォーク間に引力としてはたらいているのが原因です。

また,陽子どうしは静電気力で反発するはずなのに,原子核の中ではなぜかまとまって存在していますよね? 実はこれも強い力が引力としてはたらいているおかげ(強い力は静電気力よりも100倍ぐらい大きい力!)なのです。

4つ目の「弱い力」ですが,これは主にβ崩壊に関連している力です。 ちなみに4種類の力の大小関係は,強い力>電磁気力>弱い力>重力の順なので,弱い力が一番弱いわけではありません(^_^;)

さて,さっきまで素粒子の話をしてたのに何で急に力の話になったのかというと,現在の物理学では「力は素粒子のやりとりによって伝えられる」と考えられているからです。 これだけでは意味がわからないと思うので,ひとつ例を挙げましょう。


説明が長引いてしまいましたが,この例における「ボール」に相当するのが,光子をはじめとするゲージ粒子なのです。 それぞれの力に対し,異なるゲージ粒子が対応します。 詳しくはまとめノートで!

今回のまとめノート


時間に余裕がある人は,ぜひ問題演習にもチャレンジしてみてください! より一層理解が深まります。

【演習】素粒子素粒子に関する演習問題にチャレンジ!...
素粒子の話を突き詰めると力の話題に行き着いてしまう。 物理は結局どこまでいっても「力」なんだなぁと実感する瞬間です。

なぜ力は1つでも3つでも5つでもなく4つなのか,重力だけ大きさが異常に小さいのはなぜか,それはグラビトンが見つからないことと関係あるのか,…

疑問は尽きませんが,今回の記事はこれで終了。 興味をもった人はいろいろ調べてみてください!!

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