今回はファラデーの電磁誘導の法則が具体的な回路でどのように使われるかを,典型問題を例にとって見ていきましょう!
例題
電磁誘導でもっともよく出題されるのがこのタイプの問題。 しっかり解けるようにしておきたいところです。
解答・解説
ではさっそく解説へ。 今回の問題で注意すべきポイントは,
・「回路 = 1回巻きのコイル」とみなすこと
・磁束密度は変化しないが,棒が磁場を横切ることで磁束線が貫く面積が変化すること
の2点です。 この2点を合わせて考えると,回路に誘導起電力が生じることがわかります。 図で説明すると,
コイル内部の磁束が増えると,コイルはあまのじゃくなので,誘導電流をつくって磁束を減らそうとします!(レンツの法則&右ねじの法則!)
この説明がピンとこない人は過去記事で要復習↓ ↓ ↓
さぁ,回路に誘導電流が流れることがわかったので,これをヒントに解いていけばよさそうです!
前回の記事でお伝えしたセオリーどおり,誘導起電力の向きと大きさは別々に考えていきましょう。
このV = Blvという結果は,教科書では半ば公式として扱われていますが,実際はいまの計算のように,ファラデーの電磁誘導の法則から得られる式です。 公式として覚えることは否定しませんが,自分で導けるようになっておくと応用力もUPします!
…さて,今回のテーマは電磁誘導の問題を解こう!なのですが,電磁誘導が登場するのは(1)だけ。
(1)で導体棒に生じる誘導起電力Vが求められたので,(2)以降は導体棒を電池だと考えればOK。
電流が磁場から受ける力の公式を忘れてしまっている人がいたら,これを機に思い出しておきましょう。 では最後に(4)。
解答にひとつだけ補足。(3)で力の向きを求めましたが,コイルの性質を考えれば,フレミング左手の法則を使わずに求められます。
コイルの性質は何といっても “あまのじゃく” なところ。 誰かが導体棒を右に引っ張ったら,あまのじゃくなコイルは左に引き戻そうとするはずです。 だから力の向きは左。
ね? 簡単でしょ? 今回はここまで。
解説のために簡単な例題を扱いましたが,磁場を横切る導体棒の問題はさまざまなバリエーションがあるので,ぜひ各自でチャレンジしてみてください!
おまけ:動けばいいってもんじゃない
ここでまちがい探しをしてみましょう。 以下の文章を読んで,まちがいを見つけてみてください。
「磁束密度Bの中を,長さlの導体棒が速さvで動くと,大きさV = Blv の誘導起電力が生じる。」
…さぁ,この文章のどこが変なのでしょう?
正解はこちら。
誘導起電力が発生するのは,導体棒が磁場を「動く」ときではなく,「横切る」ときです!
ちなみに,導体棒が磁場に対して斜めに動く場合は誘導起電力が生じます。
ただし,その場合は速さvをそのまま式に代入するのではなく,磁場に垂直な成分を使って計算してください。
今回のまとめノート
時間に余裕がある人は,ぜひ問題演習にもチャレンジしてみてください! より一層理解が深まります。
次回予告
導体棒に誘導起電力が生じる理由を,ファラデーの電磁誘導の法則とは別のアプローチから考えてみたいと思います。