力学

距離と変位

今回もまた,用語の使い分けをテーマにお届けします!

前回の速さと速度はどちらもよく聞く単語でしたが,今回は距離はともかく,変位は普段使わない言葉ですよね? さっそく意味を確認していきましょう!

変位とはなにか

変位とは「(運動する物体の)位置の変化」のことです。 位置の変化,略して変位。 そのままですね笑

正確には,「運動後の位置が,最初の位置から見てどれだけずれているか」です。

しかしこれだけだと,「あれ?それって距離のことじゃないの?」という気もしてきます。 違いをハッキリさせるため,例を見てみましょう。

距離が「単純に何m動いたか」を表すのに対し,変位とは最初の位置からのずれなので,どっちの方向にずれたのかという情報も含めなければなりません!!

移動した距離に加えて,向きも付け加えなければいけない…

そう!ちょうど前回やった速さと速度の関係に似ていますね!

動いたのに変位がゼロ!?

距離と変位には,向きの違いの他にも重大な違いがあるので,最後にその例を見てみましょう。

答えを読む前に,まずは考えてみてください!!



では,解説します。

距離の方は簡単。 400mトラックを1周しているので,ランナーの移動距離は当然400mです。

一方,変位はどうでしょう?

変位とは,「運動後の物体の位置が,最初の位置からどれだけずれているか」でした。  このことに注意して考えてみましょう。

ランナーはトラックを1周して再びスタート地点に戻ってきています。 つまり運動後の位置は,最初の位置と同じ。 よってこの場合,変位は0という結論になります。

変位を考えるときは,途中どこを通ったかは一切考えません。 最初にいた場所と最後にいた場所だけで決まります。

まとめると,上の例題の答えは,距離:400m 変位:0m です。

スタート地点から一歩も動かなくても変位は0,1周しても変位は0ということに違和感を覚える人もいると思いますが,変位という概念の便利さは,もう少し勉強を進めると分かってきます!

今回のまとめノート


繰り返しになりますが,変位とは位置(=座標)の変化のことなので,まとめノートの通り,(最後にいた座標)ー(最初にいた座標)という計算で求められます。
ん?ピンとこないぞ?という人は,こちらの記事で詳しく解説してあるのでぜひ読んでください。

時間に余裕がある人は,ぜひ問題演習にもチャレンジ! より一層理解が深まります。

【演習】距離と変位距離と変位に関する演習問題にチャレンジ!...

次回予告

次回は加速度という新しい概念を学習しましょう!

加速度高校物理最初の関門,加速度運動。等速直線運動は速さも向きも変化しない運動なので,お世辞にも面白いとはいえません。 そこから一歩進んで,速さが変化する運動を扱おうというわけです。面白そうじゃありませんか!?...
error: Content is protected !!