身の周りには眼鏡やカメラ,望遠鏡など,レンズを利用した製品が数多くあります。
眼鏡やコンタクトレンズをつけている人はもちろん,スマートフォンのカメラなども合わせれば,現代社会でレンズと無関係な人はほとんどいないのではないでしょうか?
日々お世話になっているレンズの性質を,今回から2回に分けて学習していきたいと思います!
レンズに関する用語
光はふつう直進する性質をもちますが,光の屈折を利用して光の進む方向を変える道具がレンズです。
レンズには,中央部が周辺部より厚い凸レンズと,中央部が周辺部より薄い凹レンズがあります。
この先,凸レンズと凹レンズの性質のちがいを説明していきますが,説明によく出てくる用語を先に確認しておきましょう!
まず1つ目。 レンズの中心を通り,レンズに垂直な直線を光軸と呼びます。 光軸は想像上の軸なので目には見えませんが,レンズのはたらきを考えるときには必須の概念です。
それから2つ目。 どんなレンズにも,光軸上に2箇所,焦点と呼ばれる場所が存在します。
2つの焦点はレンズを挟んで等距離にあり,レンズから焦点までの距離(焦点距離)はレンズの材質や形状(厚み・曲がり具合)によって決まります。
これらの用語を踏まえた上で,さっそくレンズの性質を見ていきましょう!
レンズを通る光の進み方
レンズに入射した光は屈折して進むことになりますが,ここでは屈折の法則を用いた計算は行いません。 その代わり,光がどのように進むかを理解しましょう。
作図が出てきますが,レンズで興味があるのは「光がどのように入って,どのように出てくるか」だけで,レンズの中をどう進むかは正直どうでもいいです。 そこで,作図を簡単にするためにこんな工夫をします。
屈折を2回書くのは面倒なので,レンズの作図では省略した書き方を使うのが主流です。
では,本題に入りましょう。 光の進み方はレンズの形状によって決まっています。 ポイントは焦点と光軸!
(※ 光源のある側を「レンズの前方」,光源がない側を「レンズの後方」という。)
ルール2に従って,光軸に平行に入射した光は図のように後方の焦点に集まりますが,もし焦点の位置に紙が置いてあったら,集まってきた光によって紙に火がつきます!
まさに「焦げる点」になっているわけで,「焦点」という名前はここに由来しています。 これが紙ではなく目だったら大変!
小さい頃,「絶対にレンズ越しに太陽を覗いてはいけない!」と注意されたことがあると思いますが,その理由は凸レンズを通る光の進み方にあったわけです。
その一方,眼鏡越しに太陽を見上げても特に目に異常は起こりません(めっちゃ眩しいけど)。 これは凸レンズと凹レンズのちがいによるものです。
凹レンズの光の進み方も確認しておきましょう!
凹レンズの光の進み方も焦点が重要になっていますが,凸レンズとちがって光が集まらないので,紙を置いても焦げることはありません。
レンズでできる像
レンズは対象の物体を映して像をつくることができます。 例えば凸レンズは,物体から出た光をレンズの後方で集めて像をつくります。
上の図では凸レンズの焦点より外側に物体を置いていますが,焦点より内側に物体を置いたらどうなるでしょう?
この場合,レンズの後方ではなく前方に像が観察されます!
これが,虫眼鏡を使うと物体が大きく見える原理です。 物体そのものではなく,レンズによって作られた像が見えているんですねぇ。
虫眼鏡を通して見ても物体は逆さまにならないので,正立像であることも納得できると思います。 このように凸レンズのつくる像は,物体をどこに置くかで2種類あります。
この2種類の像は向き(倒立 or 正立)も,場所(レンズ後方 or 前方)もバラバラなのですが,それよりももっと大きなちがいがあります。
それは,「実際に光が集まってできている」のか,「光が集まっているように見える」だけなのかというちがいです!
焦点の外側に物体を置いたときのように,実際に光が集まってできる像を実像といいます。
実像は本当に光が集まっているので,その場所にスクリーンを置けば,像がスクリーン上に投影されます。
また,焦点の外側に物体を置いたときのように,光が集まらずにできる像を虚像といいます。
虚像は光が集まってできているわけではないので,像ができる場所にスクリーンを置いても何も映りません。 虚像はレンズ後方から,レンズを通してしか見ることができないのです。
凸レンズの様子がよくわかったところで,凹レンズのつくる像についても考えてみましょう。
このように,凹レンズの場合は物体の位置に関わらず,常に正立虚像が見えることになります。
今回のまとめノート
ルールを理解して,しっかり作図できるようにしておきましょう。 演習問題にもチャレンジしてみてください!
次回予告
物体・レンズ・像に関する公式を使って,いろいろ計算していきます。